近世、京都ではそれぞれの町には会所がある。樋口博美（2012）山鉢町の会所では、祇園祭が行われる。町会所、町内もしくは各山鉢保存会が所有・共有する集会施設・共用施設で、町家とも呼ばれる。近代になって、行政組織が整備されると、町会所の役割が薄れ、次々と姿を消していった。山鉢町の町会所は祭礼専用施設として残されていた。山鉢町は京都では大店が軒を連ねる商いの町である。近代化とともに、商店の代わり、企業は多くなり、住み込みという就労形態は減り、通いで働きに来る従業員ばかりになっていた。その他、人手不足のため、新たな町民やボランティアを募集するようになっている。

　しかし、山鉢行事の運行の中心は祭りを担う保存会であるが、実際に山鉢を動かす人々は別にいる。佐藤弘隆（2016）特別な技術が必要とされない曳き手の場合、近郊農家から大学の運動部やボランティア公募へと変化していくが、特別な技術が要る囃し方や作事三方は主に演奏技術を持った血縁集団が担っていた。

　要するに、祭りの運営する構成員は大きく三つに分けられる。（1）現在町内に居住する者。（2）町内に店舗やビルを構える企業の事業者や従業者。（3）町内を通う元住民やボランティア。

　京都は有名な観光都市として、毎年祇園祭の開催は地元の人だけでなく、大勢の観光客も参加する。祇園祭は夏の最も重要な祭りとして、一か月間にわたって盛んに行われている。その大規模な活動は民衆生活に影響を及ぼすのが無論で、大勢の人々の協力と団結も要るわけである。