神社祭りをめぐる先行研究は膨大であるが、本稿はそれらに立ち入ることができない。本稿は時代とともに神社祭りの伝承と革新及び人々の生活に関わりという視点を捉えたい。本稿は鹿児島県の照国神社の六月灯や京都の祇園祭という個別事例に焦点を当てたい。本稿はその二つの祭りを例にして、神社祭りと民衆生活との関係についてを分析したい。

2 先行研究

神社祭りに関する先行研究は様々ある。中国には主に神社の起源、機能及び地方神社の影響を注目する研究である。胡稹（2007）は日本の神社はある程度で日本民族の自然観念と神の信仰を反映できると考えた。冯笑寒（2012）は自然界で起こる様々な現象を神様の仕業として、自然を掌る神様を日本人の生活のすべてに関わる神様として崇めていると考えた。

日本の面では、もっと具体的な神社祭りの内容や地域に与える影響に関心を持っていると思われる。典型的な例を挙げれば、以下の二つの事例は代表とも言える。一つ目は倉田健太・稲田道彦（2016）は香川県を例に具体的な地方神社祭りの内容を紹介した。菊地愛美・森下修次（2017）は佐渡島の特色ある神社祭りを着目し、その祭りの若者に対する影響を分析する上で、若い世代の帰省する希望を研究した。

その他、神社祭りの変化を強調する研究者もいる。松平誠（1990）は「現代の祝祭は、現代生活のあり方を見据える重要な指標の一つとなりうるであろう」と指摘し、伝統も神もそして共同体的社会統合も欠く都市の人々にも祝祭の存在を認められるように、日本の都市で盛んに離れつつある「祝祭的」行為を広く包み込んだ、広範的な概念としての「祝祭」を取り上げる必要があると主張した。野中亮（2007）は明治29年には、堺市内のだんじりの曳行をめぐって2名の死者を伴う喧嘩が発生し、市内でのだんじり曳行が全面禁止になっている。その結果、堺のだんじりは旧泉北郡などごく一部の地域でのみ継続され、市内では「布団太鼓」が盛んになっていくと指摘した。

ただし、それらの研究には神社祭りと民衆生活との相互関係についての内容は詳述・分析されていない。その関係に着目した研究としては、佐藤友則（2015）は留学生と日本人の大学生や高校生が様々な国籍、文化背景、年齢などを持つ多様な「祭り」によるグローバル人材の育成と多文化共生意識の醸成を分析した。ここでの見方が貴重であるが、学校に拘らなく社会的な神社祭りはどのように民衆生活と関わるかを記述されていない。特に、民衆生活に持たらす消極的な影響は研究されていない。本稿では、これを研究することにしたい。

3 神社と神道教 

3.1 神社と神道教との関わり

　昔、日本人は大木や巨岩、山などの自然物に神様がやどると考えていた。四季の移り変わりに敏感に反応しながら、生活を続けてきた日本民族は、自然の恵みは何よりも大切である。古代の日本人はそのような自然物のある神聖な場所に臨時で仮設の祭場を設けて、祈祷や祭事を行っていた。やがて、そこに神様が住むところとして「やしろ」「みや」と呼ばれる常設の社殿を作られるようになった。今まで続く神社の原形である。　

日本各地に数多くの神社がある。日本の神社は神道教に由来する。神道教は太古から信仰されてきた日本の固有文化に起源をもつ。そして、神道教では、人々が様々な自然物を神として崇める。集団と集落で自然物のある場所に神社を造って、自分たちの信仰を神社に託す。そいう形で神社と民衆との相互関係ができた。 日本神社祭祀与民众生活的联系研究(2):http://www.chuibin.com/riyu/lunwen_206219.html